★企業年金基金や厚生年金基金の短期加入者の年金資産をあずかる企業年金連合会。その運用資産は約14兆円。日本の企業年金の「頭脳」ともいえなくもない。国の年金運用よりは、時の政権の政策にひかれることもなく、中立的でもあれば、正直な運用姿勢をもっている。資産配分構成、期待収益率、リスク(標準偏差)、それぞれのデータは、国の年金運用データより、根拠が明確である。ただし、期待収益率、リスク(標準偏差)とも過去35年という長期なものである。バブル経済崩壊後の市場でしか生きて来てない人にはやや違和感ありともいえよう。
続きを読む "企業年金連合会のポートフォリオは使えるか?" »
★信託銀行5行平均、国の公的年金、企業年金連合会の資産配分計画を3回にわたって紹介してきた。際立っているのは、国内債券。その期待収益率の差の大きさである。企年連1.5%、国の公的年金3.0%、信託平均0.4%。これは、それぞれのデータを過去何年からとっているか、または政策的作為があるかないかによるようであるが、実感的には信託平均0.4%が当面の国内債券の期待収益率としては、正直な数値である。
続きを読む "3つの資産配分から何が見えるか?" »
★4月1日からスタートした後期高齢者医療制度は、極めて世間の評判が悪い。制度導入にあたって、政府(小泉内閣)・厚労省は、夫婦で年金額150万円前後の低所得者は、これまでの75歳以上が加入してきた国民健康保険の保険料負担より軽くなることを制度の利点としてあげてきた。ところが、厚労省の根拠データが実態的でないことを5月5日の朝日新聞が記事にしている。
続きを読む "後期高齢者医療制度、低所得年金生活者に負担増?" »
★後期高齢者医療制度は、「お年寄りをいじめるな!」の民主党のキャンペーンもあって悪法イメージそのものになってきた観がある。この新制度の根幹である「健康保険法等の一部を改正する法律案」として上程され2006年2月に強行採決された改正法をあらためて見るに実に入念に構成された「小泉劇場編・痛みをともなう改革」となっている。ほとんど多くの国民には「痛みの真実」はよくわからないように仕組まれていて、行政手腕としては及第点以上の巧妙さがある。すでに、この法律には社会保険庁解体すら盛り込まれていることから、5千万件の不明年金問題もすでに仕組まれたマッチポンプであったことを実証するような厚労省官僚の抜け目のなさも際立っている。この制度のよってたつ医療保険「改革」の全体像を探ってみよう。
続きを読む "後期高齢者医療制度の導入の背景とは?" »
★悪評高い後期高齢者医療制度をさだめた「医療制度改革関連法案」(06年2月成立)は、大きく3つの体系になっている。1つは、日本の健康保険制度(現役勤労者加入の健保、自営業者や退職者加入の国保)を都道府県単位に再編・統合しようとしていること。2つは、高齢者医療制度を前期高齢者(65歳から74歳)、後期高齢者(75歳以上)に分け、前期は国保か健保に加入、後期は新たな保険制度―後期高齢者<専用>医療制度を設けたこと。3つは、医療費体系の「適正化」戦略を創作したこと。この3つの改革が相乗的に功を奏すれば、2025年の医療給付費は48兆円に「適正化」される見通し。現状のままだと56兆円になるというのが、厚労省の構想だ。この内容を整理してみたい。
続きを読む "素晴らしい医療制度改革だったのか?" »
★年収180万円未満の老親であれば、子供が加入する健康保険の被扶養者になれる。2008年3月末で、後期高齢者医療の対象である75歳以上の老親は、その数、「子供に扶養されていた200万人」(日経新聞5月12日号)である。この10月から後期高齢者医療の被保険者となり、保険料が年金から天引きになることになっていた。本来ならこの4月から徴収であったが、激変緩和措置として免除延長されている。政府与党である自民・公明党の一部では、同制度への悪評から、この免除措置の延長の検討に入ったようだ。しかし、子供の健保に扶養される老親は、それはそれで幸せな老人でもある。問題は、低額年金でも「自立」した老親の保険料である。
続きを読む "子供の扶養される老親の後期高齢者医療" »
★厚労省のホームページで「高齢者の受診動向等について」という資料が閲覧できる。全部で6Pの簡単なレジメであるが、後期高齢者医療制度をなぜ導入したのか?そのコンセプトがよく読み取れる。そのなかに「終末期における医療費についてー平成14年度」は、なかなか意味深なテーマを扱っている。
続きを読む "死亡前1ヵ月の平均医療費 112万円とは?" »
★入院53%、外来通院47%。75歳から79歳の医科診療費の内訳である。「一人当たりの医療費を見ると、前期高齢期までは入院より入院外(外来)の比率が高いが、後期高齢期に入るとその比率が逆転する」と、あたかも<新発見>のような解説をする。それは、厚労省の「高齢者の受診動向等について」という資料である。70歳~74歳までは一人あたり医療費は60万円、75歳を超えると68万円となる。
続きを読む "なぜ、75歳からは後期高齢者なのか?" »
★後期高齢者医療制度の保険料だけは、国保や健保と比較して5年後に突出して引上げられる推計を厚労省はもっている。この点を、民主党の長妻衆議院議員は、5月14日の委員会で舛添厚労相に、「どうも哲学に問題あり!」と質す。世代間負担から「世代内負担」の「哲学」を導入した後期高齢者医療制度である以上、当然に、この制度の負担率は急増する。
厚労省「高齢者の受診動向等について」の資料は、この後期高齢者負担増「哲学」の拠り所をよく示している。それは、後期高齢者の長期入院が諸悪の根源という発想が根底にある。
続きを読む "後期高齢者医療制度の「哲学」?" »
★社会保障国民会議(座長・吉川洋・東大大学院教授)の分科会は、国民年金の基礎年金財源を全額税方式化の試算を提示した。「年金制度の検討における定量的評価(シミュレーション結果)」というタイトルの報告書とバックデータは、首相官邸のホームページにある「社会保障国民会議」に掲載されている。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyoukokuminkaigi/simulation.html
同試算は、09年度に基礎年金の国庫負担を現行の3分の1から2分の1にすることを前提に、3種のパターンを提示している。
A>現行の給付水準(月額6.6万円)を全員に一律給付。
B>過去の保険料未納分は減額給付。
C>過去の納付保険料は税方式基礎年金の上乗せ給付。
続きを読む "基礎年金の「税方式」を試算提案 " »
★子育ては、なにも厚生年金加入の女性達だけの話ではない。しかし、現行の育児・介護休業制度は厚生年金加入のサラリーマン&ウーマンが対象となっている。その数、男女で3380万人である。ただし、出産育児のために「働き方」の見直しに直面せざるを得ない立場に至るのは女性とした場合、その数1323万人(民間・公務員含める)。そのうち出産育児にかかわる年齢層を、44歳以下とすると女性厚生年金加入者の約64%、約848万人ということになる。
続きを読む "育児休業、厚生年金加入者だけ848万人が対象" »
「一家に一冊!年金お助けBOOK 2008-2009年版」は、日本生活設計より5月27日全国一斉発売となります。
全国の書店、ネット書店でお求めいただけます。
・6月から被保険者全員に送付が開始される「ねんきん特別便」の見方や注意点を紹介。
・2008年度の最新情報に対応。
・個人ができる「年金記録」管理術、「我が家の年金チェックシート」の公開。
こちらからチェックシートのダウンロードも可能です。
・公的年金・企業年金・個人年金まで。
・ニッポン年金すべての個人ができる管理と運用法を網羅しています。乞うご期待!
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★現行の育児・介護休業補償制度は、基本的には厚生年金加入者が対象である。それでは、国民年金の加入者に育児・介護休業制度はあるのか?残念ながら、育児も介護も、子育て支援もない。国民年金1号被保険者である自営業、農業就労者、フリーター、独立社労士や独立税理士などフリーランサー、学生、政治家などで、女性は1053万人。そのうち44歳~20歳の女性は約600万人。例えば、共に夫婦でフリーランサー、夫も妻も不定期それぞれ年収300万円、合計600万円、妻が出産育児のため休業すると夫だけの年収300万円となる。国民年金保険料2人分を払わなくてはならない。実際に、筆者が知る夫婦である。最近までこの夫婦、保険料未納。保険料半額免除申請をして、期間をつなぐことはできるようになったとは言え、その期間の年金額は25%オフとなる。
厚生年金加入者は、育児休業しても、厚生年金も国民年金も保険料納付免除、年金額はシッカリ加算される。非正規雇用者が集中する国民年金加入者には、なぜか無縁な子育て支援である。
続きを読む "育児休業、国民年金加入の女性にはない?" »
★150兆円の公的年金積立金。その資産運用について政府の論議の余りの低能な内容には目を覆いたくなる。5月23日の経済財政諮問会議、公的年金積立金の運用改革案というよりも、これは運用崩壊論議である。その中でも、「公的年金積立金の運用改革に火を付けたのは、諮問会議の下に設けたグローバル化改革専門調査会(会長・伊藤隆敏東大教授)」(日経NETより)はたびたび幼稚な発言を繰り返している。まずこの発言の幾つかを何回にわけて取上げておく。この低レベルの知識と経験で我々の年金資産の方向を、思いつき的に決められてはたまらない話である。
続きを読む "政府の年金運用論議、その迷走とは?" »
★経済財政諮問会議、公的年金積立金の運用迷走論議をしばらく検証してみたい。この迷走の最大の迷妄は、同会議の傘下にある「グローバル化改革専門調査会」(会長・伊藤隆敏東大教授)の意見書というか、思いつきである。「一流のプロ」に任せれば、運用実績が上がるといった迷信を信じているところが、なんとも他愛ない。
はじめて投資信託を購入する人が、銀行や郵便局や証券会社の窓口で聞かされる甘言と同じだ。こうした甘言をフツーの人は半信半疑するものだ。
ところが、国会議員とか企業トップや学者は、なぜか不思議に信じてしまう傾向がある。特に、外資系運用会社の営業ウーマンにすこぶる弱い。
「グローバル化改革専門調査会」のご意見、5点のうち、今日は2点、その迷妄を指摘しておきたい。
続きを読む "民間議員氏は、外国人の専門家、一流のプロがお好き?" »
★公的年金のリスク運用拡大を主張する「グローバル化改革専門調査会」(会長・伊藤隆敏東大教授)。朝日新聞5月22日が掲載した同調査会の改革案5点のうち、最後の2点を見てみよう。
4.資金を複数に分割して運用を競いあわせる。
5.不動産を始とする株式や債券以外の資産も投資先候補に加える。
続きを読む "公的年金運用、「何もするな。足を止めていろ」John C. Bogle" »
★公的年金の積立金150兆円、このほとんどは、サラリーマン&ウーマンが加入する厚生年金のものである。現在、厚生年金と国民年金の給付費約40兆円、保険料収入25兆円、その差額15兆円は税金8兆円、運用収益7兆円強で埋め合わせていく。厚労省官僚達が描いた公的年金の100年プランの財政計画である。給付費のうち約15兆円強が国民年金の基礎年金拠出金としてゲットされる。制度の継続は、あたかも運用収益なくして成立しないかのように「仕組まれて」いるのが、ニッポンの年金なのである。ここから、厚労省年金官僚の「金融ビジネス」への野望、政治家達の「運用利権」への野望、この二つの野望のバトルが「改革」という名のもとで鍔迫り合いが始まったと見ることができる。経済財政諮問会議の年金運用論議のお粗末さは、この国の年金制度改革のドン詰まりそのものである。
最後に、公的年金の運用リスクが、どんな影響をもたらすのかを「予測」してみる。資産運用は、国がやろうが、企業年金がやろうが、個人がやろうが、リスクは収益の源泉とかいう前に、不幸に陥る確率、その備えへの警鐘としてとらえる。
続きを読む "最悪期の約▲12兆円の損失をどう覚悟するのか?" »