★某週刊誌記者と某新聞社記者から取材依頼あり。大手企業各社の赤字転落、業績の急激な悪化、これをうけて企業は「企業年金の減額を、今後、どんどん進めるのでしょうか?」という主旨であった。この場合の企業年金とは、確定給付企業年金のことである。記者達が話としてもちだしたNTTやTBSなどの年金受給者の年金給付減額の例からして、ネタは2003年から04年当時のもので古く、当方に最近の企業年金減額事例を聞きだしたいようだ。
★本取材に対しては、次のようにお答しておいた。現在の確定給付企業年金の場合、企業が1年や2年の業績悪化で現役加入者やいわんや受給者の給付減額をはかれるほど甘い制度のものではないことぐらい、是非、事前に勉強をしていただきたいと・・・。
★企業年金というのは、制度を保持している企業側からすると、恐い制度である。年金運用がマイナス運用であろうが、経済が悪化しようが、大恐慌が来ようが、年金打ち止めということはできない。逆に、年金受給者にとっては、これほどラッキーな制度はない。現役加入者が給与減額、解雇の憂き目にあっても、年金給付だけは持続していくのが、この制度の使命というか機能でもある。
★企業年金の悲劇は、積立不足のまま企業が倒産した場合である。この時点で企業年金の残余資産の分配となるわけだ。しかし、原則は受給者優先。まず年金受給者には払い続ける年金現価は確保され、その残りがあれば現役加入者に配分という算段となる。
筆者がかかわった倒産企業の場合では、現役加入者に配分と言ってもこれがなんとも切ないものに終わるケースがほとんどであった。
★年金受給者の企業年金は、個人で行う株式投資や投資信託、はたまたFXよりははるかに安全性が高い。その年金換算利率は定期預金や個人向け国債より断然有利だ。毎年変動するキャッシュ・バランス・プランでも最低保証利率は1.5%程度であるから、これは確定拠出年金の現状の運用では確定給付企業年金にはなかなか勝てない。
逆に、企業にとっては、確定給付企業年金は後発債務リスクの塊として、企業業績回復の足かせとなっておそいかかってくる構造は、いつも同じだ。
★日立やトヨタ、多くの大企業の確定給付企業年金、数千億円規模の年金積立不足となっている。大恐慌的大不況のなかでの経営再建である。「大胆な経営改革」の先、または途上で、確定給付企業年金のなんらかの「改革」もまた必至となるであろう。ただし、現行制度では、この年金積立不足金を何らかの方法で解消しないと前に進められない。
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