デイリーニュース

« 東京の胃袋、築地の空洞化 | メイン | なかなか決められない被用者年金一元化法案 »

「市場としての日本では成長は期待できない」と日立・中西宏明社長

海外流失35兆円、海外比率50%超企業増大

★今週は「ニッポン空洞化」強調週間なのか?日経新聞は5月31日号「生産流出35兆円」、6月1日号「海外で5割超」と、連続して製造業大手の海外への生産移転、市場の海外シフトをとりあげている。なぜか、本ブログも「ニッポン空洞化」の素描週間になってしまいそうである。日経新聞5月31日号の「エコノフォーカス」では、経済産業省の海外事業活動基本調査をもとにした第一生命経済研究所の永浜利弘氏の分析レポートを記事にしている。

★日本企業が全世界で生産し世界市場で儲けることは善いことである。
しかし、その儲けたお金が国内に投資として還流せず、日本国内は働き口のない失業者ばかりが増大、国内消費が先細る。
それでも企業は増収増益、好調な業績拡大をつづけたとしても、その国の「実質的な経済力」はこれまでのような国内総生産だけで計るのは正確でなくなる。
単純に自国内生産+輸出-輸入=実質経済力という秤ではその国の経済力は計れない。
第一生命経済研究所の永浜利弘氏は3つのルートからの計量方法を提示している。

★「3輸出誘発効果」-「1輸出代替効果」-「2逆輸入効果」=実質国内経済効果
「1、現地法人が生産した製品が日本からの輸出に置き換わる「輸出代替効果」」
=国内生産と雇用のマイナス要因

「2、現地生産品が日本に輸入される「逆輸入効果」」
=国内生産と雇用のマイナス要因

「3、国内から現地法人に部品や原材料などが輸出される「輸出誘発効果」」
=国内生産と雇用のプラス要因
要するに、ニッポンの実質的な経済効果は、
「3輸出誘発効果」-「1輸出代替効果」-「2逆輸入効果」=実質経済効果となる。

★08年度は、35兆6000億円流出、96万人の雇用喪失
すでに08年度は、
「3輸出誘発効果22兆6000億円」-「1輸出代替効果47兆9000億円」-「2逆輸入効果10兆3000億円」=-35兆6000億円の「生産が国内で減った」というのが先の結論である。

「08年度の国内の製造品出荷額は334兆円。生産のおよそ1割が海外進出によって押し下げられた」「単純計算で国内の雇用も差し引きで96万人が下押しされた」(日経新聞5月31日号)

★国内製造業の海外生産比率(日経新聞5月31日号より)は、
「国際協力銀行によると、02年度全業種29.3%→08年度34.5%、自動車41.4%→51.9%、電機・電子36.3%→41%、繊維22.3%→38.3%」

★稼ぐ市場を日本国内から海外にシフト
「電機・素材など売上高目標」「海外で5割超相次ぐ」日経新聞6月1日号である。

・東芝「海外売上高比率を55%から63%に」
・パナソニック「12年度に売上高10兆円(09年度7兆4000億円)、海外比率は48%から55%に高める」
・三菱重工業「海外受注比率を同49%から63%」
・住友工業「海外売上高比率は12年度に53%」

★このなかでも日立製作所の中西宏明社長の談話はニッポンの経営者の思いつめた到達点である。日経新聞6月1日号である。
「12年度の売上高を09年度比17%増の10兆5000億円に引き上げ」「海外比率を41%から50%超にする3カ年計画を発表」「人員計画は海外が09年度末比25%増の16万1000人、国内は同6%減の21万7000人」
「市場としての日本では成長は期待できない」と中西宏明社長。

★企業が世界化することは、資本が無国籍化していくこと意味する。
無国籍化した資本は情け容赦なく、水の如く、高きところからコスト低く、浸透しやすき沃野に流れていく。
生産も販売も海外ウエイトが高くなれば、必然、人財も現地採用、ニッポン人にこだわらずボーダレス化していく。
なにも、今に始まった企業の経営行動でもない。戦後一貫して日本企業が追い求めてきた「成長」の過程である。ソニーやトヨタ、ホンダがやり遂げてきたことである。産業の空洞化はすでに1990年代後期からヒタヒタと日本の産業構造を侵食していたのである。

ここに来て、「空洞化」が問題になるのは、日本企業が2010年を境に一斉に、ドット、海外移転、海外シフトに踏み出し始めた点にある。

★企業は企業統治の組織機能を本国に留める理由は希薄化していく。
国内の産業空洞化は、尊王攘夷の世の中ならいざ知らず、日本人を否が応でも世界市場の乱戦に繰り出す。恐らく、栄華盛衰、諸行無情の鐘の音、今以上の厳しい音色となること必至である。
日本ビジネスマン、より一層のタフネス、頑張り、したたかな気力、強靭な体力、列強に劣らない技能が求められている。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://nenkin.co.jp/mymt/mt-tb.cgi/1607

About

2010年06月02日 05:38に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「東京の胃袋、築地の空洞化」です。

次の投稿は「なかなか決められない被用者年金一元化法案」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

出版物

最新年金情報満載
「ねんきん特別便」対応。
「我が家の年金チェックシート」付。 厚生年金、国民年金、共済年金、企業年金、日本版401kまで。年金完全ガイド。
豊富なモデル例と図解で企業年金改革の基本が掴めます

RSS配信(RSSについて)