企業の減収減益原因の既裁定年金の減額はダメ。6月9日最高裁判決。
★企業年金給付減額の最高裁の最終決定はNTT訴訟が本邦初となるのであろう。
日経新聞6月9日号によると「一審・東京地裁判決は「NTT東日本・西日本は年1000億円前後の利益を継続的に計上しており、経営が悪化したとは到底認められない。年金廃止を避けるための次善の策として減額がやむを得ないとはいえない」として、NTT側が訴えを棄却」されたのは、2007年だった。
NTT側は控訴するが、08年には東京高裁も地裁判断を支持。NTT側は「年金制度の維持が困難になるほどの経営悪化を減額承認の条件とするのは硬直的。企業年金の設計を労使の自主判断に委ねている法律の趣旨を損ねる」などと主張」(同日経より)、最高裁に上告。結局、最高裁も一審、二審の判決を支持。NTT側のOB年金減額は全面敗訴となった。
★2010年6月9日の最高裁のNTT訴訟の上告棄却判決は、OB年金減額は会社が継続する限り不可能という2005年以降の企業年金の世界で「常識」となっていることを追認しただけのことである。
★会社が倒産するか、それに近い債務超過、または更生法申請、民事再生などの法的処理がされない限り、会社が単に減収減益ぐらいの理由では現役の年金減額は可能だが、既裁定のOB年金減額は本来、厚労省の認可の俎上に挙げること自体に無理があったのである。
★2004年4月のNTT67社の現役社員の給付水準減額からはじまったNTTの年金改革は、年金受給権者の既裁定年金の減額でそのミッションは完遂する見込だった。
不思議なのは、NTT側は何を根拠に厚労省は「認可」してくれると踏んでいたかである。
★推測ではあるが、NTT側は厚労省からなんらかの認可の事前回答を得ていたはずである。
NTT側と厚労省とは事前協議で、粛々と「認可基準」通りに手続きを踏めば、「認可」の黙契があったのであろう。それがなければ、OB受給者からの同意取り付けという極めて困難な作業を会社はやるはずがない。年金受給者14万人のうち3分の2以上、12万人の同意をとりつけ、2005年に厚労省年金局国民年金企業年金課に「減額認可申請」。
★ところが、どこかで厚労省の顔色が変わってしまったのだ。
厚労省はなぜか?NTTは著しく経営悪化、債務超過に陥る可能性にないから「認可はしません」となった。企業年金業界通に言わせると、「厚労省年金局国民年金企業年金課の課長が人事異動で変わったから。ともかく給付減額に厳格に対処するという新任課長氏の判断」とのことであった。事の真偽は定かではないが、厚労省の企業年金行政は役所の「裁量」次第という側面は否めない経緯がある。
頭にきたのはNTT側である。
「話は違う」とNTT側は、振り上げた拳の行政訴訟になった、というのが本当のところのようだ。
★さて、今回の最高裁の判決は最終判例となる。
したがって、この判例に穏やかでいられないのは、過去に会社が減収減益になったので給付水準を引き下げた企業年金である。引き下げ同意はしたが、会社はちゃんとあるじゃないか、減額した年金を返せとOB年金受給者達からの損害賠償請求は可能なのか、そんなことも心配してしまうNTT年金減額、最高裁の判決であった。
★NTT年金訴訟については、下記にもあります。
http://nenkin.co.jp/lifeplan-blog/news/archives/2008/07/10-061919.php
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