フランス・スペイン・ギリシャ支給開始年齢引き上げ、給付減額。ドイツもイギリスも。
★欧州各国の国家財政再建はいよいよ年金改革という名の給付削減に動き出した。
「欧州、財政再建へ年金削減 仏やスペインなど」日経新聞6月16日号古谷茂久記者の報告記事である。
「フランス政府は支給開始年齢の引き上げを柱とした抜本改革案を16日に提示」「62~63歳まで引き上げる方針」「高額所得者については、掛け金を割り増しする制度の導入」というから社会階層全般におよぶ高負担給付削減に踏み出すようだ。同記事から欧州各国の年金政策チェンジをまとめておく。
★今回の欧州経済危機の発火元であるギリシャは、すでに5月、「年金改革案を閣議決定した。60歳だった女性の年金支給開始年齢を男性と同じ65歳まで引き上げるほか、特別給付金の減額などを盛り込んだ」
★スペインでは「サルガド経済・財務相が8日、年金改革について野党と協議を始める方針を表明。支給開始年齢の65歳から67歳への引き上げや、低所得者以外は当面、支給額を据え置く措置」を公表している。
★ドイツでも「メルケル政権は社会保障費の削減を打ち出しており、医療保険や年金制度改革の検討」
★「財政再建に積極的な保守党が政権を獲得した英国では、給付額削減など改革案が浮上する可能性」というから、年金から社会保障全般におよぶ給付削減、負担増に欧州各国は大きく舵を切りだしたようだ。
★政府の年金給付削減には、必ず、ゼネラルストライキで応える欧州各国の労組である。政府と労組の年金削減戦争となるのか、今後の欧州の政情混乱は必至である。
★「仏の年金の赤字幅は2010年は320億ユーロ(約3兆6000億円)に達する見込み」という同紙の記事があるが、これは積立不足なのか、保険料と年金給付との年間収支差なのかは不明。恐らく、年金給付債務に対する積立金との差額、その積立不足金とするには320億ユーロ(約3兆6000億円)は余りにも小さいので、保険料と年金給付との年間収支差であろう。
★フランスの赤字幅は2010年は320億ユーロ(約3兆6000億円)であるが、ニッポンの厚生年金は2009年度▲9000億円、2010年度▲1兆7000億円、2011年度▲1兆1000億円、累損3兆7000億円に至る(厚労省発2009年「財政検証レポート」)。フランスは大変だ、と対岸の火とばかり呑気には見ていられないニッポンである。
★欧州各国の年金削減策の多くは、支給開始年齢を62歳とか65歳に引き上げると言ったものが多い。これらはすでに日本の年金で導入された手でもある。この程度では、年金財政はそんなに簡単に好転するわけでもないことは、はからずもニッポン年金が示している。
欧州の年金給付削減、どこまで徹底されるのか?
今しばらく眼がはなせない。
★「強い経済、強い財政、強い社会保障」民主党菅直人首相のキャッチフレーズである。
その核は「年金改革」とも言う。
しかし、経済の空洞化、増大する借金、財源なく拡大していく社会保障がニッポンの現実である。
どこをどうしたら三方すべて強くなるのであろうか?
経済学の正道を覆す菅流経済学でもあるのだろうか?
それにしても、2009年の衆議院選挙、あれほど燃え盛った年金改革論議がまったく下火である。
こんなことでいいのだろうか?
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