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離婚と年金分割、貧しい二人になってしまう現実

遺族年金もなく、加給年金もなく、別れた妻にはわびしい年金しかないのか?

★まさか「年金離婚分割」を理由に離婚する夫婦がいるとは思ってもいなかった。実際に「年金分割ができる今ならばと踏ん切りがついた」と協議離婚に及んだ50代前半の女性の話を聞いて、今さらながら女性の強さ、その「堂々人生」を思い知った。しかし、厚生年金期間はわずか数年、専業主婦として25年、今後もフリーター人生を歩むというその女性の老後を考えると、本当に大丈夫なのかと心配してしまう。それほど、「年金離婚分割」の年金は、別れる女性が想定したほどではないのである。日経新聞日曜版6月20日号は「離婚のお金事情」特集の第二弾、「年金、分割は「厚生」の一部のみ 「遺族」の資格は喪失」とサブタイトルにある。

★2007年4月1日以降の離婚は、婚姻期間中の夫の厚生年金の報酬比例部分、その計算の基礎になる標準報酬額の半分を上限に、双方の「合意」もしくは「裁判所の決定」によって「按分割合」が決まる。「按分割合」されるのは、夫の厚生年金の報酬比例部分だけであって、夫の老齢基礎年金は対象外である。


★結婚10年で離婚。その期間の夫の年収平均500万円。妻は専業主婦で第3号被保険者の場合である。
・夫の標準報酬総額は、500万円×10年=5000万円→5000万円の50%の按分割合となると、2500万円÷120カ月≒21万円。

・21万円×0.005481(支給率)×120カ月≒14万円。月額にして1.2万円の老齢厚生年金が離婚した妻が支給開始年齢に達した年齢(60歳~65歳)に支給となる。

・妻自身が離婚後も国民年金だけの加入で40年間あれば、老齢基礎年金は約79万円、離婚分割された老齢厚生年金は約14万円。あわせて約93万円、月額7.75万円。

・別れた夫は、前妻に分けた老齢厚生年金の婚姻期間10年分の14万円が差し引かれた年金を受ける。婚姻期間が長く、報酬が高ければたかいほど、妻への分割分は多く、自身の年金はどんどんわびしくなると心得ておきたい。

・離婚を繰り返す男性も年金からみたら「市場価値」が離婚のたびに劣化していくことも心得てほしい。


★離婚によって按分されるのは厚生年金の報酬比例部分の計算基礎である標準報酬総額である。したがって、夫が若くまだ給与が低いときの婚姻期間は、別れる妻には不利である。ここから、「ジックリ太らせてから別れる」といった熟年離婚が増加しているとは思いたくないが、しかし、現実はその通りなのである。


★離婚せず、夫が40年間勤め、夫の標準報酬総額が平均月額で40万円にでもなっていれば、夫65歳で、夫の老齢厚生年金は約105万円。老齢基礎年金は約79万円。さらに配偶者加給年金は39.6万円。合わせて、223.6万円。月額で約18.6万円。


★さらに、妻が65歳になると、夫の老齢厚生年金は約105万円と老齢基礎年金は約79万円、さらに妻の老齢基礎年金は約79万円を足せば、約263万円、月額約22万円(妻が65歳から受け取れる振替加算は含めず。S36年4月1日生まれの女性で年額約1.53円)。


★離婚後も元妻は一人であれば、老後は月額7.75万円。何とか喧嘩しながらも共に添い遂げれば月額約22万円。この落差は大きい。しかも、夫が先に逝けば、遺族年金は遺族厚生年金が約78万円、妻自身の老齢基礎年金は約79万円、あわせて157万円。月額約13万円となる。


★「年金分割によって熟年離婚がしやすくなったのは事実にしても、日本の年金制度はそもそも婚姻している夫婦に有利にできている。離婚すると妻は元夫の遺族基礎年金、遺族厚生年金などは一切、受給できなくなる」(日経新聞日曜版6月20日号)から、離婚する女性の長生きのリスクは、きわめて大きい。

★逆に、別れた夫の後添いとして再婚した女性は、ある意味では、再婚はラッキー年金となるのが、日本の年金制度である。


★2008年4月1日以降、実際には08年5月からの婚姻期間中の夫の老齢厚生年金の報酬比例部分は、「協議」や「合意」や「裁判所決定」はいらず、「強制分割」となる。


★さて、離婚を決意した女性である。「女は、恐いのよ。夫の長年の裏切りは、どこかできっちりオトシマエをとりにいきますから。年金が欲しいわけではないの。分けてもらうものなら、家も貯金も年金もなんでもとりあげたい」とのことであった。しかし、それにしても、年金だけの世界では、年金離婚分割、決して「ニコニコ離婚」とはならない。

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2010年06月22日 05:30に投稿されたエントリーのページです。

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