企業年金の域内通算制度、「最低給付保証」導入、公的年金は支給開始年齢引き上げ
★財政危機と経済後退が深刻化するEU欧州連合である。にわかに年金改革案の方向性があきらかになりつつある。日経新聞7月6日号、ブリュッセルの欧州委員会がまとめた年金改革案「グリーンペーパー」の概要を報じている。
企業年金と公的年金の一体の改革とEU加盟国各国に制度改革を促す「たたき台」としての改革案である。その狙いは公的年金の一層の後退を計ることが主眼のようだが、同時に企業年金の域内通算制度、解散時最低給付保証などの導入をもって公的年金の補完機能を強化させるところにある。
★公的年金はEU欧州連合各国の財政健全化の最大のアキレス腱でもある。
日経新聞7月6日号には「EUの年金改革骨子」として5項目をあげている。
1.支給開始年齢の引き上げ、定年延長
2.年金受給に必要な保険料納付期間の延長
3.中高年への短時間労働の導入
4.雇用維持に向けた税制上の優遇措置
5.年金統計の改革
★リタイアこそ至福の時とする欧州的人生観に対する挑戦的な改革案である。年金支給年齢を63歳とか65歳にするからそれまで働いて稼げという政府の意図を押し通すには、これから幾多の反対運動を克服しなくてはならないのであろう。
★企業年金改革の主要なのは2点。
1.「最低給付保証」の仕組みの創設
同紙によれば、「「確定給付企業年金」を採用する企業が倒産した場合」の「最低給付保証」をするばかりか、「掛け金の運用次第で将来の給付額が変わる「確定拠出型」の運用実績が金融危機など市場環境の変化で著しく悪化した場合」にも「最低給付保証」を適用するという。確定拠出年金(DC)に「最低給付保証」が、もし実現するとなると、これは日本への波及も必至であろう。「最低給付保証」の原資は、「最低給付保証」基金のような公的機関に企業が掛け金拠出する仕組みとなる。
2.国境を越えた転職時に持ち運びできる制度の創設
現状は「フランス企業からドイツ企業に転職した場合、原則としてフランスで積み立てた企業年金の掛け金(保険料)は清算」。これをEU欧州連合の域内での通算制度にする。
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