著書「大貧困社会」(角川SS新書)、所得比例年金で高齢貧困世帯救済を説く
★ある時を境に民主党年金改革案は「転向」した。
スウェーデン方式といわれる所得比例年金がまずあって、充分な年金水準に至らない人には最低保障年金を付加するという便法に変わった。その民主党に転向を導いた論客は、推定ではあるが今のところ慶応義塾大学経済学部駒村康平教授である。
駒村教授の「新厚生年金」論である。その内容は駒村教授著「大貧困社会」(角川SS新書2009年1月発行)で読むことができる。ここで提示された改革案は、大貧困社会ニッポンで「不安のない社会への処方箋!」とある。
今は耳を澄まして、駒村康平教授の「新厚生年金」論を読みすすめてみたい。
★駒村康平教授も民主党年金改革案も「スウェーデン方式」と呼ばれる「所得比例年金」、その補完的制度でありかつ高齢者生活扶助金(ほとんど生活保護)的な役割を担う「最低保障年金」ということで一致している。
「大貧困社会」(角川SS新書)P165にある「最低保障年金について」で駒村康平教授は重要な事を述べている。
「この最低保障年金により、低所得者の高齢者のほとんどは生活保護制度を利用しなくてもすむようになる」
「生活保護制度は、本来の、若い世代にための一時的なセーフティーネット機能を果たす」
とあるように、現行の国民年金の基礎年金はなくなり最低保障年金と変わる。この給付は限定的、補完的なものになる。
★ここで、民主党年金改革案の変節を確認しておく必要がある。
内閣府副大臣・古川元久氏「スウェーデン方式もカナダ方式も、新幹線ののぞみかつばさか程度の違いで、本質的な違いはない」(週刊ダイヤモンド2月20日号)と言い訳をしている。古川さん、問題点をごまかしてはいけない。
★2004年の年金改正時に民主党の改革案は「カナダ方式」であった。
「最低保障年金」月額7万円は横に一直線に所得に関係なく伸びていく。
その上に「所得比例年金」が上辺に伸び、所得比例年金がある一定水準になると、最低保障年金は急降下してなくなる図になっている。
これはカナダの年金制度の構図である。
★2009年衆議院選挙を前にして公表された民主党年金改革案は「スウェーデン方式」に転向する。
公的年金制度の基幹は「所得比例年金」で、その上に補完的に「最低保障年金」月額7万円がある一定の所得まで乗る形のイメージ。ある一定の所得に達すると徐々に逓減し、上限所得でなくなる。「最低保障年金」がなくなる構図である。「所得比例年金」が前提で、ある一定水準の年金所得に達しない人には、「最低保障年金」が補完的に付加される。
★民主党2009年衆議院選挙マニュフェストの目玉は「年金抜本改革」だった。
現行の国民年金基礎年金と厚生年金保険では未納未加入者、増大する非正規労働者の低額年金を救済できない。
最低保障年金と所得比例年金に変える。
ただし具体的なカタチがみえないなか多くの人は消費税でまかなう最低保障年金に眼がいっていた。
しかし本筋はニッポン人の15歳以上のすべてを所得比例年金に強制適用することが主眼にあることが分かりかけてきたようだ。
巷の年金論議でも、国会で公明党の04年の年金改正時の元厚労相坂口さんも「2004年に言っていたこととちょっと話が違うのでは・・」と国会で質問をしていた。
★構造の違いについては、本誌2月18日号で取り上げている「スウェーデン方式か、カナダ方式か、定まらない設計イメージ・民主党年金改革案、どこをどう改革するのか?(その1)」をお読みいただきたい。
http://nenkin.co.jp/lifeplan-blog/news/archives/2010/02/18-055209.php
★繰り返して言っておかなくてはならない。制度設計の構造の違いは本質的である。
その本質とは、「所得比例年金の15歳以上の人に強制適用」は、バラ色の「年金改革」ではないこと。
人々に新たな負担強化をどう納得させるか、極めて困難で世代と世帯の違いで恐ろしく利害得失が絡まる問題をあきらかに明示する必要があるはずである。
★9月14日の民主党代表選、管直人首相721、小沢一郎さん491。
どちらというと年金嫌いの小沢さんが負け、年金好きの管直人さんが圧勝した。年金改革まで残された時間は2年。管直人首相、本気でやるのかどうか、これからをウオッチしていきたい。
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