厚生年金基金制度、収支逆転、最悪のシナリオも視野に入った
2009年度(平成22年3月末)保険料収入1兆3167億円、給付総額1兆3886億円
★厚生年金基金制度はこの先どうなるのか?
加入者に対する受給者の割合は09年度59%に達し、制度成熟度は加速化している。それ以上に制度の行末に危機的様相を示しているのが年金財政上のキャッシュ・フローの悪化、保険料収入に対する給付総額が逆転しはじめた。
« 2011年04月 | メイン | 2012年05月 »
2009年度(平成22年3月末)保険料収入1兆3167億円、給付総額1兆3886億円
★厚生年金基金制度はこの先どうなるのか?
加入者に対する受給者の割合は09年度59%に達し、制度成熟度は加速化している。それ以上に制度の行末に危機的様相を示しているのが年金財政上のキャッシュ・フローの悪化、保険料収入に対する給付総額が逆転しはじめた。
保険料全額免除も国民年金第1号被保険者の28.3%、前年26.8%から1.5%上昇
★厚労省年金局4月28日公表の「国民年金納付率」は、ついに過去最低の58.2%を記録。
前年の59%を0.8%下回る。国民年金第1号被保険者の国民年金未納はもうどうにも止まらない。日経新聞5月9日号は「若年層の未納の背景にはこうした今の年金制度に対する不信」をあげる。しかし単純に「年金不信」だけで未納者が増えているわけではない。
住友生命▲2.17%、第一生命▲2.39%、明治安田▲2.56%、日本生命▲2.65%、三井生命▲2.80%、富国生命▲3.29%、六社平均▲2.64%
★5月から6月は機関投資家による資産運用の前年度実績の公表シーズンである。
まずは、大手生保6社の確定給付型企業年金のうち2010年度の生保特別勘定利回りが、大手6社平均でマイナス2.64%であった。2009年度は18.59%であったから、その急落は21.23ポイントとなる。「生保6社の10年12月末の特別勘定資産残高は約3兆2600億円」(日経新聞5月10日号)もあるが、保険会社にとっては余り「儲からない」商品らしい。「大同生命保険が特別勘定業務から撤退したほか、大手生保の中にも積極的に営業していない」(同紙)とある。確定給付型企業年金であっても確定拠出年金でも個人の定額年金でも、保険会社を使う効用は利率保証の生保一般勘定であるはず。ちなみに2010年度の生保一般勘定、保証利率1.25%(解約時ペナルティーあり)と保証利率0.75%(解約時ペナルティーなし)であった。
65歳未満の年金増加額千円~2千円、作業コスト3400円。65歳以上の1人あたり生涯平均で2万2000円~7万円増。
★紙の記録台帳とコンピュータデータ、6億件の突合作業が開始されたのは2010年10月12日であった。1万8000人を投入、全国29ヶ所、2013年度まで約3000億円の経費をかける民主党政権の「国家的大事業」となっていた。日本年金機構では、5月10日に全件突合のサンプル調査結果なる中間報告を公表した。
売上高9兆3158億円、営業利益4445億円、最終損益2388億円の黒字転換
★電機大手の決算が発表された5月11日、際立っていたのは日立製作所、20年ぶりの最高益となった。昨年10年3月末は最終損益1069億円の赤字であったわけだから、11年度当初の目標通り、V字回復達成であった。3.11大震災で約750億円減益要因を日立金属や日立ハイテク、日立建機などの上場子会社の海外新興国需要への販売好調が呑み込んだ形というのが、新聞各紙の論調である。「日本市場は成長の糧見えず」と2010年早々から海外シフトに加速してきた巨艦日立の経営戦略はどこまで進むのか?日本国内の産業が一気に海外に雪崩ていく分水嶺とも読める日立製作所2011年3月末の決算であった。なお、株価は12日終値460円台。過去10年来の高値は1008円(02年1月7日)であるから、未だその半分にも至っていない。2012年3月期の業績予想は発表されず。実際は3.11大震災・大津波・原発事故がボディーブローのように効いているのではないかと、投資家は慎重になっている。
被災純損失額<住宅・家財・車の取得価額(「取得費-減価償却費」×被害割合)+取壊し除却等費用-損害保険金-賠償金>を雑損控除申告できる
★「震災特例法」が施行された。東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律である。被災純損失額を雑損控除申告すれば、前年平成22年度に納付した所得税の還付を求めることができる。平成22年度分の所得から控除しきれない場合は、「震災特例法」によって5年間の繰越控除が認められる。詳細は、国税庁のホームページに被災純損失の計算シミュレーションからその申告書までが掲載されている。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1055.htm
また、日経新聞5月15日「Sunday Nikkei」の「震災特別法ポイントは?」が大変わかりやすく解説している。
NHKETV特集 「ネットワ―クで作る放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月~」は必見である
★我々はまったく未知の危機を超えた恐怖に直面している。
3.11福島原発事故から2ヶ月。原発から30圏内の警戒地区どころかさらにその圏外に退避した人々、そこに未だ住む人々の苦渋にみちた生活。その真実を若い研究者の眼を通して明らかにしていく、ドキュメント番組、NHKETV特集 「ネットワ―クで作る放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月~」は3月15日放映された。若い研究者の現地3000キロの調査は、人々の暮らしと財産を根こそぎ奪っていく原発事故の酷さを教えてくれる。日本列島に生きる限り、福島の人々の苦難は他人事ではない。今、そこにある生活の究極的リスクを超えた恐さがある。これは、日本人必見のドキュメントである。再放送はNHK総合5月20日午前1時半から。
社会保障審議会第3号被保険者不整合記録問題特別部会報告の答申案
★大変長ったらしい名前の審議会から「問題解決」の法制化の骨子が5月17日に発表された。詳しくは、下記URLを参照。救済策ともに過払い分の返還もあるが今回の「問題解決」の特徴である。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001c8nq-att/2r9852000001c8rz.pdf
支給打ち切り上限は600万円?1000万円?1200万円?40年先に3.5%の消費増税
★年金抜本改革で政権奪取した民主党である。
社会保障と税の抜本改革調査会(会長・仙谷由人官房副長官)とやらで、最低保障年金の年金支給条件の試算が公表したのが5月16日。すでに年金制度守旧派の頭目、元自民党の与謝野馨氏を政権に呼び入れた段階で、民主党年金改革案は遁走の序曲を奏で始めたわけだが、焼け木杭に火がついたのか、気合を入れなおしたのか、民主党政権の目玉商品であった最低保障年金の年金支給条件の試算を今になってようやく議論を開始している。
岩手県2万2853人、宮城県4万6194人、福島県3万7414人、3月12日~5月13日までの震災失業者
★3.11東日本大震災・原発事故による失業を震災失業者と呼ぶようだ。
被災3県でこの2ヶ月間、ハローワークで失業手当手続きを行った人が合計で10万6000人、例年の2.4倍となっていることを厚労省が集計発表した。沿岸3県では水産加工業などが壊滅的打撃を被ったことが大きい。読売新聞5月19日号によると、被災3県の新規求人数は3月時点で2万5099人。岩手県29.3%減、宮城県27.2.%減、福島県前年比23.3%減、全国平均では7.1%減であったことから被災3県の雇用状況は深刻である。「福山通運(本社広島)は、関東から関西地区の支店を勤務地に被災者約300人を正社員として募集」「17日現在の内定者は11人」(読売新聞5月19日号)。被災者にとって、「家族を被災地に残すことや県外への移住に不安」(同紙)が大きいことがある。被災者が新たな仕事を新天地で見出すには、未だ心の平安にいたるにはほど遠い。
民主党年金マニュフェスト、お蔵入り決定。厚労省主導の現行制度の手直し案
★「税と社会保障の一体改革」と呼ぶにはお粗末な手直し案である。
2011年5月20日、厚労省主導の「年金カイカク案」が公表された。
前政権の自民・公明党時代に論議されていた内容をほぼそのまま引き継いだ代物である。これにて民主党年金マニュフェストの手仕舞い、はいそれまでとなったわけだ。2009年夏の政権交代はなんだったのか?このボンクラ政党は反省のカケラもない。
まずは、厚労省主導の「年金カイカク案」の8項目を、これまでのポツポツとでてきた情報を含めて、推論的にまとめておきたい。※注は筆者が考える問題点ならびに附則。
低所得者の少額年金飴玉加算策、基礎年金最低資格期間10年短縮案、高所得者基礎年金半減案、非正規・パートの厚生年金強制加入案
★社会保障改革に関する集中検討会議が開かれ、2015年年金手直し法(改革などと呼んではいけない)が提示された。
議論なし、批判なし、検証なし、思想なし、財源なし、危機感もなし
★厚生年金の財政がコケると、日本の公的年金はすべてコケる。
まずは04年の年金改正、「100年安心プラン」で描かれた「見込」と09年度まで5年間の実績とのブレ具合、見込み違いをみておきたい。
厚生年金支出増、過去5年間で見込より12兆円増
★「100年安心プラン」、2004年年金改正の失敗は、厚生年金支出額の実績の余りにも大きな見込み違いである。05年度から09年度の厚生年金の年金給付などの支出総額は182兆385億円、2004年年金改正の見通しでは170兆円、その差12兆385億円も見通しより増大した年金給付である。
見込では累計赤字▲11兆5000億円のはずが、▲6兆円も増えてしまった
★厚生年金の収入減の根幹は「保険料収入」である。にもかかわらず、「保険料減っても」後はなんとかなるのではないか、と官僚も政治家もタカをくくってこられたのは、なぜなのか?
09年度末資産積立残120兆8000億円、見込では149兆2000億円だったはず
★厚生年金の積立金は、最後の拠り所である。
保険料収入が減っても、厚生年金本体の年金給付、自らの財政基盤をもたない基礎年金の給付も、その水準を維持するには、厚生年金の積立金の運用収益でなんとかなる、と多くの人が思い込んでいる。
2015年までに財源10兆円不足、だから消費税を2.5%~3%づつ2段階引き上げ
★社会保障「改革」を集中検討の会議にわりには緊迫感も危機感もない会議である。
「年金」「介護」「医療」「子育て」、すべてに具体的な問題点の検証もなく、将来の姿も論議もない。ただ「社会保障に関する財源が10兆円超、不足するとの試算を示す。これを消費税に当てはめれば5%程度の計算になる。消費税の使い道は社会保障に限るとの内容も盛り込む方向だ」(日経新聞5月31日号)増税だけが一人歩きし、制度の手直しで終わりそうな雲行きである。それにしても度胸も根性も叡智もない菅直人さんである。