厚労省の突然の閃きなのか?専業主婦3号被保険者は夫の厚生年金の半分
★厚労省は夫の厚生年金の2等分案を29日の社会保障審議会年金部会に提示した。
2012年度に予定されている年金改正は、「「短時間労働者、社会保険適用拡大」、「専業主婦3号被保険者の保険料負担」をめぐる論議になる。「(1)専業主婦に別途の保険料負担を求める(2)夫が追加で保険料を支払う(3)妻の年金を減額する――などの案も議論するが、厚労省は世帯の負担や給付を変えるのは難しいとみている」と日経新聞9月29日号が報じる。どう考えてもタダ乗りの専業主婦3号被保険者と保険料負担をしている1号被保険者と厚生年金加入の働く主婦との「負担と給付の不公平」の打開はできそうもない。そこで厚労省が突如とひらめいたのか、夫の厚生年金の半分を専業主婦3号被保険者に分割する案である。これは年金の離婚分割に似た手法である。
★離婚すれば婚姻期間中の夫の厚生年金は配偶者が要求すれば強制的に分割される。
04年の年金改正で公布、08年4月1日以降の婚姻期間中の厚生年金はどちらか一方が離婚を申し立てれば、夫の厚生年金と妻の厚生年金は合算されて最大半分までを上限に分割される。
★夫の厚生年金は、専業主婦3号被保険者の「内助の功」のたまものなのだから、半分は被扶養配偶者に受給権があるという発想から生まれた離婚分割制度である。
分割されるのは、老齢厚生年金だけである。夫婦それぞれの老齢基礎年金は個人単位の年金なので分割対象とはならない。
★夫の厚生年金保険料は拠出するときに半分は妻の分といわれているわけでないので、妻が65歳になったときにいきなり夫の老齢厚生年金の半分が妻のもとに振り込まれるとなると、夫婦の間でどんなことが起きるのか、考えさせるものがある。
★現状において夫の老齢厚生年金の平均は月額9万9000円程度である。
老齢基礎年金が月額6万5000円として、年金月額は16万4000円が平均的な水準である。
妻が65歳になって、妻自身の老齢基礎年金が月額6万5000円とあわせて、月額22万9000円。
共に暮らす老夫婦ならば、なにも老齢厚生年金を分割することに意味はほとんどない。
★意味があるのは、別居している夫婦、家計は夫婦別々といったケースであろう。
婚姻期間が40年とすれば、夫の老齢厚生年金の半分4万9500円、老齢基礎年金が6万5000円で夫は11万4500円の年金月額が、夫婦それぞれの年金月額となる。
★夫婦ともどもなんとか我慢して仲良く暮らすならば月額22万9000円の年金生活が、夫の老齢厚生年金の分割によって、「それなら私は自立した生活をします」と宣言されれば、夫婦ともども月11万4500円の耐乏生活に陥ることになる。
60歳すぎの夫婦の在り様によっては、厚労省は夫婦仲を裂く恐ろしくユニークな事を考えたものだ。
(この稿続く)
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