政府と銀行から総額2兆円追加融資の東電、会社も社長も自己破産の安愚楽牧場
★「東電 実質国有化へ」の一面トップ記事で報じたのは読売新聞朝刊21日号であった。翌日22日の東京新聞朝刊の社会面の片隅に「安愚楽牧場の社長自己破産 負債2億円」とある。一方は人類史上最悪の惨事を引き起こし莫大な損害賠償を課せられた原発事故。他方は日本の牧畜業者のささいな破産。まったくスケールが違うためか、結果として実質破たんした東電は国によって救済されなんとか生き延びられる手だてが講じられそうだが、安愚楽牧場は牧牛とともにその個人投資家たちも扼殺される。
しかし東電と安愚楽牧場、その破綻のプロセスどこか似たものがある。
★東電破綻のプロセスは今や誰もが知っている。
ここでは、まずは読売新聞が報じた東電、実質国有化の道筋である。
1.原子力損害賠償支援機構を通じて、政府は東京電力の3分の2以上の株式を取得。
2.政府は支援機構を通じて1兆円を出資、主力銀行は総額1兆円の追加融資、総額2兆円の資金支援となる。
3.3分の2以上の議決権を政府がもつことで、経営の重要事項を政府が決めることができる。
4.支援機構は「出資の前提として、2012年10月に電気料金の最大10%と13年度以降の原子力発電所の再稼働を見込んでいる」というから、これまた現政権は不気味かつ懲りない東電の国策国有化を目指している。
5.22日の東電の終値222円。前日比プラス11円高。国有化するなら政府にとっては株価はどんどん下がるに越したわけないが、政府が取得するのは「優先株」など種類株となるもよう。
★安愚楽牧場の経営破たんの発端は、2010年に宮崎で発生した口蹄疫問題にあったことは有名である。詳しくは、インターネットのウィキペディアの「安愚楽牧場」を参照してください。
このなかで、「宮崎県の検証委は」「安愚楽牧場が口蹄疫感染の初発になった可能性にも言及している」とあるから、安愚楽牧場の口蹄疫の不適切対応という経営の判断はきわめて罪深いものがある。
★「老後の備えと思い東電の株を結構買ってきた。もう売った方がいいですか?」とか、
「森林投資はどうですか?」とか、「牧場はどうですか」とか、「ワンルームマンション投資はどうですか?」とか、「金が良いか」「大豆が良いか」とか、
最近はライフプラン研修の受講者からの質問は多種多様である。
★もちろん、セミナー講師としては個別商品の投資について個別的に答えることはできない。敢えて言えば、「個々の商品がもつ『まさか』というリスクが何かを想定してみたらどうでしょうか」と答えるほかにない。
★投資する商品に「まさか」はつきものであるが、時に人々はその「まさか」を希望という感情で封印してしまう。その心理が常に働く。それでも「まさか」に賭けたいなら「まさか」の想像力を徹底して掘り下げるしかない。
★それでも「まさか」が納得できないなら、「まさか」を自分なりに数値化してみる。
「その『まさか』が起きるとどのくらい損するか、自分なりに計算してみてください」
『まさか』が1回起きたら100万円投資したら▲10万円程度の損なのか?
2か起きたら▲20万円の損なのか?
その損が耐えられるか?
自分娯楽費としてあきらめがつくか?
★それぞれの当事者も投資家も「まさか」はいつも起きえる「まさか」であることである。
その「まさか」は統計的に100回に1回程度の確率で起きるかもしれないものであっても、起きてしまったら「まさか」は100%の確定リスクである。
★2011年12月22日現在、我々が知った現実と歴史は「まさか」は不連続であるが連続的に起きる既視の世界に他ならないことを教えてくれたわけだ。
東電の国有化、安愚楽牧場の自己破産、ともに「まさか」のはかない実現であった。
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